ノーベル経済学賞受賞者ジョン・ナッシュ
先日、交通事故でお亡くなりになったジョン・ナッシュという数学者をご存知ですか?彼は、統合失調症という病に侵されながらも、自分の愛する数学の道を極め続け、ノーベル経済学賞を受賞した人物です。
彼が生み出した理論は、学問の世界だけにとどまらず、経済政策やビジネス、生物学までにも応用され、世の中に大きく影響を与え続けています。
わたしも一橋大学経済学部で、経済学(特にミクロ経済学)を学んでいる際に、ナッシュ均衡(ジョン・ナッシュに由来)という言葉に出会っています。同時代に生きた天才が作り上げた理論を、基本的な内容として大学で学ぶのは、なにか不思議な気がします。
そんな私たちと同時代に生きた数学の天才の、苦難に満ちた一生を鮮明に描いた映画「ビューティフル・マインド」を紹介します。
大学院時代には、既に世界的な天才だった
ジョン・ナッシュの名前がついているナッシュ均衡。それはゲーム理論という経済学の一分野で使用される理論です。そして、ゲーム理論の経済学への応用が高く評価され、彼はノーベル経済学賞を受賞します。(経済学賞を受賞しましたが、彼自身は経済学者というよりも数学者です。)
ジョン・ナッシュが、ナッシュ均衡やゲーム理論の研究をしていたのは、なんと、彼が大学院生時代のことです!その時の研究内容が、長年世界中で応用され、40年近い年月を経て、彼にノーベル経済学賞をもたらしたのです。
早熟の天才という言葉もありますが、彼も正に早熟の天才といえるでしょう。
ビューティフルマインドは、彼の大学院生時代から映画が始まります。そのため、彼がこの理論を発見する瞬間も描かれています。酒場で、複数の女性と複数の男性を最も最適に組み合わせる描写を使って、彼が提唱した理論をわかりやすく説明しています。
幻覚に苦しむ一生。統合失調症の発症
大学院生時代には、天才数学者として、確固たる地位と能力を持っていたジョン・ナッシュですが、病魔が忍び寄ります。統合失調症という精神の病を患ってしまいました。
統合失調症というのは、幻覚や幻聴などに苦しみ、正常な精神状態を維持しづらくなる病です。彼の場合は、特に幻覚の症状がひどく、自分にしか見えない人間と会話をしてしまい、周囲の人間から不審がられてしまいます。
あまりにも症状が進行してしまったため、彼は精神病院への入院を余儀なくされ、退院後も何十年に渡る闘病生活を送ります。
幻覚の中でカーチェイスをしたり、存在しないルームメイトが机を窓から落としたりと、映画を面白くするためにかなり大げさに描かれています。そういった描写は映画の1つとして楽しめばいいと思いますが、このビューティフルマインドという映画が伝えたいメッセージは「幻覚を見て、周りにいるすべてのものを信じられなくなる。そんな状態でも信じた物(人)」ということです。この言葉の意味を知りたい方は、是非、映画を見て下さい。
ジョン・ナッシュを献身的に支えた妻
精神的な病を患ってしまうと、自分だけではなく、周りの親しい人間もつらい思いをします。この映画でも、ジョン・ナッシュの奥さんが苦しむ様子が描かれています。
彼女は統合失調症に苦しむナッシュを看病し、普通の生活ができるようになるまで、何十年もの日々を彼と共に過ごしました。そして、その支え続けた旦那が、ノーベル経済学賞を目の前で受賞するのです。そのシーンは涙無くして見られません。
傑作
- 作品賞(アカデミー賞)
- 監督賞(アカデミー賞)
- 助演女優賞(アカデミー賞)
- 脚色賞(アカデミー賞)
- 作品賞ドラマ部門(ゴールデングローブ賞)
- 脚本賞(ゴールデングローブ賞)
- 主演男優賞(ゴールデングローブ賞)
- 助演女優賞(ゴールデングローブ賞)
これらは、ビューティフル・マインドが受賞した映画賞です。
アカデミー賞を受賞したにも関わらず、「うーん・・・」という作品も世の中にはありますが、ビューティフル・マインドはこれだけの賞を受賞するに値する名作です!
天才数学者の数奇な人生と、その数学者を支え続けた妻の愛を、この映画で知って下さい。きっと、人生に大きなプラスになりますよ!
Amazonプライム会員なら無料で見れますよ!
ビューティフル・マインド
RECOMMEND POST